知型

5/11
前へ
/181ページ
次へ
「先生、ここ間違ってますよ」 ほかの先生から書類の指摘され頭を抱える岸田先生。 「やっぱり苦しそうだな」 竜樹たちは職員室の扉から顔を出し様子を見ている。 「でもこんなところにいたらさすがに変な人って見られるよね」 ルクスが心配そうに言った時、端末の着信音がなった。 「先輩だ」 『二人とも、そっちの様子はどうだい?』 「相変わらず先生は苦しそうです。それ以外は特に何も」 『うーん、やっぱり知型の発見は難しいなぁ』 ため息の着く先輩の声が聞こえた。 『所長からの連絡。今日確認できた被害者は岸田先生を入れて5人。全て都内なんだ』 「それって……知型がまだ東京の中にいる可能性も?」 『あるよ。だから竜樹とガリマーは先生の見張り継続。陽菜乃とルクスは一旦、東京支部に戻るんだ』 「分かりました」 『じゃあ、竜樹、ガリマー、見張りよろしく。くれぐれも相手にバレないように』 『怪しい動き、しないこと』 「もう既に怪しいわ」 サウンの言葉にガリマーは苦笑いをして返した。 そうして通信は切れた。 「私たちは言われた通り支部に戻るね」 「ああ。こっちは任せとけ」 そして俺たちは下駄箱に向かう陽菜乃とルクスの後ろ姿を見送った。 「はぁ、俺たちは変わらず監視か」 そうため息をつこうとした時だった。 「うぐっ!?」 「先生! 先生、どうされました!?」 職員室から聞こえる動揺の声。 俺たちはつかさず職員室に入り込んだ。 「上城くん!?」 「先生、早く救急車呼んでください! 危ないかもしれないです!」
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加