プロローグ

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ーー何となくだった。 俺が父の日記を見たのはそれだけの理由。 まだたくさん整理をしないといけないがあぐらをかいて座り込む。 その日記に書かれていたのは普通の日常だった。 ドラゴンとの戦闘だけじゃなくて、俺たち家族のことも。 『五月八日。今日は竜樹の誕生日だった。もうあいつも十五歳。子供の成長は早いなぁ』 『七月十一日。今日は任務で神奈川へ。ドラゴンの被害で海に規制がかかっている、と。最近ドラゴンの被害が大きくなっている』 ペラペラめくっていくと父の人柄が分かってくるような文があった。 『二月二十日。雪の降る中、ドラゴンが傷だらけで落ちてきた。手の中には竜樹と同じくらいの歳の女の子。雪の中で傷だらけ。何故だろう』 この文ではない、その後の文。 『ドラゴンは何故暴走し始めたのだろう。人への被害が大きくなっている。ガリマーと任務に当たっているが分からない。なるべく人への被害を減らすには……』 「……」 その文を見て俺はしばらく沈黙していた。 「竜樹、整理は終わったの?」 そんな母の言葉で我を取り戻した、という感じだった。 「いや、まだ終わっていない」 これは三月末のことである。
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