知型

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所長に行って欲しい、と言われたのはビル街から少し離れたところ。 『着いたかな? じゃあ、説明するよ。今2人がいる場所はね……』 「たった数分前に被害者が確認された!?」 なんでそんな重要な場所に俺たちを行かせたんだそう感じた。 ガリマーはともかく俺はまだ新米だと言うのに。 「でも情報が早かったな」 『話せば長くて……』 『陽菜乃とルクスをこっちに呼んだでしょう?その途中に人が急に倒れた、って連絡が来てね』 所長の声を遮り、説明する歌さん。 『きっとまだその近くにいると思うから捜索して欲しいんだ。僕とサウンもそっちに向かうから先によろしく』 そう先輩が言って通信は切れた。 「この辺りに隠れている可能性か……」 見渡す限り家だらけ。 「家の中に隠れているとかないよな?」 「それは最悪。とりあえず歩いて捜すか」 「知型も一応ドラゴンの姿なんだろ?大きいのか?」 「知型のくせにバレやすい大きな姿になるとは考えにくい。きっと今の俺たちの姿と同じ感じだろうな」 「うわあっ!?」 突然悲鳴が聞こえた。 「行くぞ、竜樹!」 俺たちは声がした方向へ走っていく。 サラリーマンが尻もちを着いて怯えている。 その目の前にはオレンジの鱗に包まれた小さなドラゴン。 「あいつ、絶対知型だ……」 「おいらの強さ、凄いんだ」 よだれを垂らしにやりと笑う。 明らかに様子がおかしい。 「ガリマー!」 俺が叫ぶとガリマーはサラリーマンとドラゴンの間に割って入った。 「おっさん、早く逃げろ!」 「は、はいぃ」 サラリーマンは鞄を持って走り去っていく。 それを見届けた俺は知型のドラゴンを睨みつけた。
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