一章 出会い

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教室には既に数人の生徒が緊張しながら待っていた。 しかし、健人はその空気を壊すように教室に飛び込んだ。 「俺、吉田健人だ! みんなよろしくな!」 急に大きな声を出されてビビっただろう。 みんな困惑していた。 「健人。みんな困惑してる。少しは気遣えよ」 「あ、すまねぇな、みんな」 その後五分もしないうちにクラスメイトが集まった。 「あと少しで入学式。そろそろ並ぶとするか」 担任の岸田が腕時計を見ながら呟く。 「よし、みんな廊下に整列しろ!」 いよいよ始まるんだ、俺の高校生活が。 緊張とワクワクが半々になったような気がした。 そう思ったが入学式は眠くなる。 校長の長ったらしい話。 よく先生は耐えれるな、そう思う。 「えーと本校は生徒を一番にして……」 その時だった。 閉めてあった式場のドアが勢いよく開く。 会場はざわめき始める。 ……俺はあいつを見た事がある。 最初にそう思った。 「ど、ドラゴン!?」 入学生も慌てる。 だが、一人だけやけに落ち着いている少女がいた。 「ガリマー……」 少女が放った言葉にハッとする。 あいつは……かつて俺の家で暮らしていたガリマーだ。 でもなぜこんなところに。 『えー、みなさん落ち着いてください! すぐに通報しますので!』 「しなくても悪さする気はねぇよ」 ガリマーは司会者を睨みつけるように言った。 「俺は直斗の代わりにここに来た」 「ガリマー……あいつ」 「なぜ? 今、直斗さんの代わり、って言ったよな」 在校生席に座っていた涼はすぐそばにいるサウンに聞いて確かめた。 「まさか、上城竜樹……彼に用があるのか?」
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