一章 出会い

6/10
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
その後は何も無く入学式が終わった。 ホームルームが終わり放課後。 「全く……なんだよ、あのドラゴン……」 健人が俺にぶつぶつ文句を言ってくる。 「竜樹、お前は何も思わないのか!? せっかくの入学式が台無しだぞ!」 「そんなに怒るなって。てか、俺少し呼ばれているんだ」 「そっか。入学式の時に立ち上がった先輩だろ?」 さすが健人。 俺の全てを把握しているみたいだ。 「じゃ、俺は先に帰っているぞ」 「そうしてくれ」 そうして俺は教室を後にした。 「お、来たようだね」 体育館裏にその二人は俺を待っていた。 「すみません、遅れてしまいましたか」 「ううん。大丈夫、こっちが早かっただけ。先輩、早速本題に入りましょう」 九重先輩と白露さんだ。 そしてその足元には二体のドラゴンがいた。 「君はこのガリマーを知っているね」 もちろん、と俺は頷く。 「父さんの……直斗のパートナーのドラゴン。それがガリマー。会うのは一ヶ月ぶりくらいです」 「間違いない? ガリマー」 白露さんが尋ねることにガリマーは深く頷き返した。 「でも……なぜ今になってなんですか」 先輩は小さなため息をついた。 「ガリマーが勝手にここに来たことはちゃんと叱った。そして君にひとつ……君には直斗さんと同じような素質を感じる、そう所長に言われたんだ」 一瞬何を言われたのか理解が出来なかった。 「父さんと同じような?」 「WDのことは知っていると思う。それは運命に引かれた者が入れる」 黄色いドラゴンが口を開く。 「サウン。難しい話はしなくていい。簡単に言うと君はガリマーの姿を見た時、行かなければと思ったそうだね。それだよ」
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!