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その後は何も無く入学式が終わった。
ホームルームが終わり放課後。
「全く……なんだよ、あのドラゴン……」
健人が俺にぶつぶつ文句を言ってくる。
「竜樹、お前は何も思わないのか!? せっかくの入学式が台無しだぞ!」
「そんなに怒るなって。てか、俺少し呼ばれているんだ」
「そっか。入学式の時に立ち上がった先輩だろ?」
さすが健人。
俺の全てを把握しているみたいだ。
「じゃ、俺は先に帰っているぞ」
「そうしてくれ」
そうして俺は教室を後にした。
「お、来たようだね」
体育館裏にその二人は俺を待っていた。
「すみません、遅れてしまいましたか」
「ううん。大丈夫、こっちが早かっただけ。先輩、早速本題に入りましょう」
九重先輩と白露さんだ。
そしてその足元には二体のドラゴンがいた。
「君はこのガリマーを知っているね」
もちろん、と俺は頷く。
「父さんの……直斗のパートナーのドラゴン。それがガリマー。会うのは一ヶ月ぶりくらいです」
「間違いない? ガリマー」
白露さんが尋ねることにガリマーは深く頷き返した。
「でも……なぜ今になってなんですか」
先輩は小さなため息をついた。
「ガリマーが勝手にここに来たことはちゃんと叱った。そして君にひとつ……君には直斗さんと同じような素質を感じる、そう所長に言われたんだ」
一瞬何を言われたのか理解が出来なかった。
「父さんと同じような?」
「WDのことは知っていると思う。それは運命に引かれた者が入れる」
黄色いドラゴンが口を開く。
「サウン。難しい話はしなくていい。簡単に言うと君はガリマーの姿を見た時、行かなければと思ったそうだね。それだよ」
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