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プロローグ
A PIECE OF CAKE
満員電車が開くと、沢山の人が一同に階段を下り改札を出る。そこに拓けるのは所謂オフィス街。
誰もが前を見ながら、時折携帯電話の画面に目を落としながら、カツカツコツコツ音をたてて歩いていく。そんな中男の足取りは大変重たいものだった。
彼の名前は明智。色の白い顔である彼はやや釣り上がった目をしているのにも関わらず、何故か気弱そうに見える。いや、気弱な性格と言ってもよい。
数日前、明智の勤める会社のオーナーである織田は、ある事を決意した。それは社会人野球界一強いチームを作るということ。その発端は、人をうまく憎めない明智でさえ距離を取りたくなる羽柴という男の発言からだった。
「最近の時代は野球チームですよ、オーナー。有名選手を集めグッズを売り、猛烈にアピールをすれば、我が社を更に名のある会社にできるはずです。我が社は誰もが認める、社会人野球を盛り上げた会社になるのでしょう。」
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