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「えー!本当ですか!男性ですか?女性ですか?」
状況説明をしたとき返ってきた元気溌剌な言葉に、大事なのはそこだと思いだし、電話を繋げたまま、そっと丸まった背中を転がそうとした。揺らしても揺らしてしても、なかなか転がらないため、痺れを切らした華は力を込める。
寝起きが悪いのか起きる素振りが微塵もないそいつは、赤い髪をした眉が細い男。
男。
「お、お、男!」
その事実に一番困惑したのは華本人だった。まるで怪人に出会ったかのような悲鳴を上げたが、彼は依然として丸まっている。
触った時に柔らかい感触ではなかったため怪しいと思ったが、僅かな希望をかけてひっくり返したのに、それは無残にも打ち砕かれた。華は今まで男性の部屋に泊まったことがなかったというのに、今時分は知らない男の家にいる。
華の回答に感激した後輩は意気揚々と写真を送るようにせがんでくる。先輩の一大事を楽しんでいるように見える彼女が、友人なのか疑いたくなった瞬間だった。
混乱に混乱を重ねた彼女は後輩に言われるがまま、自分の携帯電話で彼の写真を撮った。が誤ってフラッシュを焚いて撮影したため、眉間にシワを寄せている。
やってしまったと固まっているうちに、彼が起き上がってしまった。
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