赤い髪のスピードスター #井伊直政

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「あのな、俺は何もしてねえから。話を聞けよバカ。」  この場に及んでまだそんな事を言うのかと思ったが、彼が言うにはどうやら違うらしい。段々落ち着いてくると、華は二日酔いに気がついたように頭が痛くなってきた。 急に喚いたのも、いけなかったかもしれない。  立ち上がった男は怠そうに冷蔵庫を開け、ペットボトルに入ったままの水を華に放り投げて渡す。  無理な体勢にならずとも、ペットボトルが引き込まれるように華の元へ来た時は、少し感動した。以前動画で見たミラクルチャレンジのようだ。  そのボトルも栓は固く未開封のようで、二日酔いの華には少々固い。持って帰ってもよいと言われたので、懸命に開け遠慮なく口を付けることにした。水がこれほど美味しいとは知らなかった。  水を飲み落ち着いた頭でまとめると、彼の話はこうだ。
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