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当時は関西に住居を構えていた井伊一家。父の収入も安定していたため、家賃がかかる大きなマンションの一室に住んでいたが、母は今後の生活を考え息子を連れて実家近くに引っ越すことに。その時から直政は関東で暮らすことになった。
数年間過ごした関西の言葉が抜けず、時折その言葉が混じり異端な目で見られることもあったが、そんなことは既に慣れており、気にも留めていなかった。
根っから勝気な性格だったのだ。
髪を金色に染め高校三年生の秋頃まで授業にもついていけない様子だったが、亡き父に残された母から大学にだけは言ってほしいと懇願され、渋々受験勉強をすることに。
高校に来てからできた唯一頭の良い友人、榊原康政(さかきばら やすまさ)に教えてもらいながら勉強を始めた結果、現在の大学に合格。
元々負けず嫌いだったこともあり、普段無口で聞き役に徹する榊原が、テストの点数だけは自慢してくることが悔しく、それがバネになったと言っても過言ではない。
全て終わってみると、あれも榊原の作戦だったのかもしれない。
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