#一年生レギュラー

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 そんな恩もあり、彼とは今も頻繁に連絡している。研究職を目指す榊原は迷惑に思っている可能性もあるが、それは直政の知ったことではない。  母の望みで入ったものの、父が残した遺産と母の稼ぎしかない事を知っている直政は、学費は自分で工面しようとアルバイトをしていた。  そして大学三年生の時。そのバイトの帰り道で華を拾ったのだ。その時にアドバイスをくれたのがあの榊原。 「お前のことだ。確実に怪しまれるから、この画面は残しておくように。」  初めはこの助言が癪に障ったが、彼の予言通り直政は疑われ、画面を見せることでその疑いは晴れた。持つべきものは、人を客観視できる友達である。  実はあの時、榊原以外の他の友人にも相談はしていた。 しかし他の人はラッキーやチャンスだと捉えた意見が多く、聞く気になれなかったのだ。合コンは好きだが、何故かそういうやり方は好きになれなかった。  結果としては、榊原の意見を尊重して正解だったらしい。今でも華との連絡は続いている。  かなりの醜態を晒した彼女が、礼をすると聞かずに押し切られたのが最初。
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