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社会に勤める人間で知らない人間はいないと言っても過言ではない織田の会社。しかし羽柴は野球を始めることで、社会人だけでなく主婦や子供、老人、つまりは日本全体に知れ渡ることができると、甲高い声で熱弁する。
ゆくゆくはプロ野球に進出するらしい。
「我が社は日本全体で愛されるべき会社なのです。日本の顔なのです。日本の顔は織田なのです。その実力があるのに勿体ない。」
どこからそんな言葉が出てくるのか、データを元にする明智からすれば落ち着かないお世辞を並べる羽柴に、織田オーナーも悪い気はしない様子。もっとも、猛烈にアピールすれば我が社が有名になれるといった根拠もない。
恐らく女好きである羽柴は、野球チームを作ることではなく、野球チームに欠かせない応援団や、彼らを取材するアナウンサーが目当てであることに、他の社員らは薄々気づいている。
それでも、税金対策の当てを探していた織田は低く響く声で羽柴の言うことに賛同したのだ。
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