プロローグ

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「それは良い話だ。先走ってプロとはいかぬところも、面白い話ではないか。ではそのメンバーを集めるとすると。」 「それが良いですね。では明智さん。よろしくお願いします。」  無茶な話が本格的に始動したと内心ため息を吐いていた明智は、その息を丸々飲み込むほど息を飲んだ。思わず声も出ないどころか、飲み込んだため息が眼球を押し出しているように目を丸くする。 散々都合の良いことを言って、面倒なことは任せるというのか。 「え、ちょ、ちょっと。」 「そうだ。確か明智、お前野球したことがあったよな。わしは野球など興味がない。だから、お前が集めてこい。」  ニヤリと笑う織田の表情は、明智の就任を適材適所な判断をくだしたとは言い難く、むしろ困らせようとしているように見える。いや、そうとしか見えない。  だいたい野球に興味がないのならこの案は否決にすべきだと喉まで出た明智だったが、言葉にすることを躊躇ってしまった。理由は本人もわからない。  羽柴は羽柴で、一番面倒な仕事を押し付けられた事に安心し、歯を見せて笑っている。  野球をやったことがあるといえども、今でもツテがあるわけではない明智。やったことがあるのは高校の時までだ。  当時は遊撃手として周りの人間と楽しくグラウンドを守っていた。熱心に球を追いかけた良い思い出が、まさか裏目に出るとは。
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