プロローグ

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「安心しろ。資金は出してやる。ま、全員集められたらの話だが。」  高らかに笑う織田の声に重ねるように、羽柴の甲高い笑い声が響いた。 織田は明智が嫌いなようだ。何をしたのか身に覚えはない。原因を何度も考えたが思いつかない。  思いつかないまま、毎日悪口を言われてきたのだ。ハゲとかデコとか髪の話もあれば、性格自体の話もある。それだけならまだ耐えられた。デコは広いが髪が薄い自覚はなかったから。 だが今回は別問題だ。  抗議しようとしたが、出る声はひ弱な声だけ。そんな蚊の鳴く声など解散と宣言した織田の言葉にかき消されてしまった。   上司命令なら仕方ない。今更クビを切られることだけは避けたい。 これが社会人の常なのだ。
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