赤い髪のスピードスター #井伊直政

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 そんな華に見限った学生時代からの知り合いが彼女のために設けた今日の決戦場。それが合同コンパ。  そんな下品な集まりになんか参加しないと言っていた華だったが、結婚する友人も現れ始め、勢いで決めた。今回は参加すると。後悔は、多分ない。 「私ばっかり人気になっちゃうかもしれないけど、ごめんねえ。」   戦場に立つ決意表明をした電話で高らかに笑った華は、電話を切ったあと理想の男性に出会えることを夢見ていた。そしてその後、早速服を購入し、ネイルも施し、エステにも行った。 だから今、華は新品のブラウスに新品のワンピース、キラキラしたネイルをつけ、戦闘準備が完了している。鞄はもちろんブランドバッグ。今日の私に勝てる人間はいない。そう思っていた。  三時間後、彼女は撃沈した。誰とも連絡先を交換できなかったのだ。
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