赤い髪のスピードスター #井伊直政

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 最初の当たりは良かった。男性陣から歓声も上がった。それに気を良くした華はその合同コンパを名いっぱい楽しんだ。  その結果は散々だった。あとで知人達にメッセージ上で確認してみると、どうやら華だけ連絡先を手に入れることが出来なかったよう。  何故自分だけ。この哀れな状況は華の中で困惑を生み、次第に悲しみに変わり、最後には怒りへと変貌。人生で初めてコンビニで酒とアテを購入し、公園のベンチで一人二次会を行ったのだ。  怒りに任せながら酒を飲みつつ、友人達の惚気メッセージを見ては、今度は泣きながら酒を飲む。  馬鹿にされた気分だ。やってられるか。悔しい。悲しい。この私が。の繰り返しをしているうちに、彼女は夢の中に落ちていった。そこから記憶がないのだ。あるのは頭痛のみ。  次に華が目覚めたとき、目に入った場所が何処なのか理解できなかった。見覚えのない古びた木製の天井が見える。
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