第三章 闇から知る本当の世界

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第三章 闇から知る本当の世界

視力が無い僕。 僕は今、ベージュの革のソファに座り 目の前には茶色の木目調のテーブルがある。 目が見えていた頃の記憶で知っているから 分かる。 もしこれらが新品の物に買い替えられたら 色を説明されても僕は実感出来なくなる。 見たことのないソファに座り 見たことのないテーブルを目の前にする。 それはイヤだから 古くなったとしても使い続けたい。 見えなくても新しいソファとテーブルの色を 実感する方法はないものか…。 色は五感のうち視力が頼りだ。 その視力が無い。 では色とは何か。 光は青、赤、緑で出来ている。 太陽の光がソファに当たり、 青、赤、緑の、どの色も吸収せずに反射したら 白くみえる。 白いソファだ。 青だけを吸収し赤と緑を反射したら黄色に見える。 黄色いソファだ。 ただ、それだけのこと。 人の目には、そう見えるというだけだ。 それなら、人の目ではなく 本当の実物は何色なんだろう…。 物によっては 紫外線を反射したりしなかったり、 赤外線、マイクロ波を…反射したりしなかったり…。 そもそも物は何を反射するかで色を決めるなら 人が見えない光も 反射したりしなかったりしているはずだ。 なんて恐ろしいんだ。 目の前の物に色なんて概念すら本当は無い可能性が あるじゃないか。 生物の目が見えている範囲だけの光が どの波長が反射しているのかで色を決めている? もっと言えば スマホが発する電波だって波長が違う光。 マイクロ波だ。 もしこれが可視光線(見える光)の範囲にあるなら スマホが眩しくて仕方ないはずだ。 この考えを元に、本当の世界を 想像してみよう。 視力が無く闇しか見えない僕に 本当の世界が見えてくる。
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