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みんなで夕食を
午後1時のゆうきママの来訪に合わせて、パパはお遊戯会の時くらい髪を短く刈り込んで、いつものピンクの部屋着じゃなく、グレーのトレーナーに着替えていた。
「変なの。いつものパパでいいのに」
私がそういうと、おばあちゃんは首を横にふった。
「よそさまの親御さんがうちに来るんだろ? ちょっとでも心証を良くしとかにゃ……」
ゆうきママに私の大好きなパパを見てもらえないのは寂しかったが、初めてお友だちを家に呼ぶというイベントに私はときめいていた。
ゆうきママはビックリするくらいお裁縫が下手だった。パパは早い段階で小物作りを諦め、押し入れからミシンを出してきた。
パパが20分くらいで作っちゃう歯磨きコップを入れる巾着袋を、ゆうきママは夜の7時までかかって何とか仕上げた。
「できたぁ! できた! かわいい! 嬉しい!」
大喜びするゆうきママを見て、パパも嬉しそうだった。
「よかったら食べてってくださいな」
おばあちゃんが作ってくれた晩御飯をみんなで食べた。
いつもの夕食なのに、その日の食卓はやけにキラキラして明るかった。
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