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そして今
高校生になった私は、夜一人で家にいることを許されることになった。
私は朝、ゆうきの分もお弁当を作って一緒に高校に通う。
ある日、うちに夕飯を食べに来たゆうきママが真面目な顔で言った。
「あんたたち結婚したらうちに住めば良いじゃない? 家賃が浮くだけで生活楽よ?」
「母さん自分がご飯作りたくないからそんなこと言って、みゆに作らせようとしてんだろ?」
ゆうきは真っ赤になって誤魔化そうとしてる。
「やだ、私は一緒には住まないわよ?新婚夫婦と同居なんて野暮なことしたくないし」
「えっ?」
私は言葉を失った。
子育ても一段落したからと仕事を増やし始めたゆうきママは、ここ最近泊まりがけで取材に出掛けることも増えてきていた。
(ゆうきママがいなくなる?)
考えただけで心臓がドクドクし始めた。
呆然とする私をよそに、ゆうきママは爆弾発言を連投する。
「私ここに住んで、みゆパパにご飯つくってもらうの」
「えっ? ええっ? ひょっとしてゆうきママ、うちのパパのこと……!?」
慌てて言葉が続かない。
ゆうきママは私の動揺に気づいて大笑いした。
「やだ! 私とみゆパパが結婚したら、あんたたち兄妹になっちゃうわよ? そんなの、困るじゃない! みゆちゃんはうちの嫁! みゆパパの嫁はゆかりさん!」
ゆうきママは仏壇を指してそう言った。
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