優しさゆえの対立

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優しさゆえの対立

 パパはなにも言い返さなかった。 黙ってうつむき、悲しそうにお遊戯会のお知らせを見つめていた。  おばあちゃんとパパがたまに言い合いをしているのは知っていた。けれどいつもは私が二階に上がってからのことだった。  私の前でこんなにおばあちゃんが声を荒げたのはこのときだけだったので、私はビックリしてパパの膝の上で固まっていた。 「分かってるわよ」  パパは小さくそういって私を膝からおろすと二階に上がっていってしまった。  何だかパパがかわいそうで泣いていると、おばあちゃんが私の頭を撫でてそっと言った。 「心配せんでもええ。その日はばあちゃんが観に行ってやるから」  パパもおばあちゃんもいつも優しい。なのに何で二人は仲が悪いんだろう。  幼心にその事実が悲しくて、いつまでも泣いていたことを覚えている。
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