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〇秋穂の職場・給湯室・中(昼)
窓の外の木々が紅葉している。
秋穂、お茶を淹れていると、園部史彦(三十二)が来る。園部、そっと秋穂を後ろから抱き締める。
園部「近く福岡に異動するんだ。秋穂について来て欲しい」
秋穂「史彦」
園部「詳しくは後で話そう」
秋穂「うん」
秋穂、嬉しそうに微笑む。
〇冬香のアパート・中(数日後の夜)
壁のカレンダーが十一月になっている。
秋穂と冬香、グラスを合わせる。
冬香「結婚おめでとう!と言っても、今日は二人だけど」
秋穂「仕方ないよ。春乃は店閉めた後の後処理に奔走してるし、ほら、赤ちゃんもお腹にいるし。夏美はライブで抜けられないし」
冬香「そうだね。あ、今日ね、秋穂が好きそうなもの、買って来たよ」
冬香、新聞紙に包んだ包みを秋穂に渡す。秋穂、開けると、焼き芋が二つ顔を出す。
秋穂「おなら出ちゃったら責任取ってよね」
笑い合いながら、食べる二人。
〇同・外(夜)
冬香、秋穂を見送りながら、寂しげ。
冬香「仕方ないよね」
〇同・中(夜)
冬香、宴の後片付けをしている。生ごみを纏めて、台所の隅に置き、空気清浄機の「脱臭」スイッチを押す。
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