千の鶴を殺しても
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戸惑うばかりの私は完全に
蚊帳
(
かや
)
の外。周りは慌ただしく動き回り、十二時になるぞとあちこちから威勢よく大きな声が行き交い、背後では大量の
灯籠
(
とうろう
)
を次々に溝に流し始めている。 「お前、名前なんていう」 「露草…です」 するとその人は最初に声を掛けてきた人の所に行き、話しをする。なにを話しているのかはここからはわからない。けど、私のことを言っているのだろうと予想はつく。ちらりと視線を向けたり、じっと見たりする。
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