千の鶴を殺しても

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向こうに居る姿を見ると、いまさらながら、やっぱりなんとも言えない気分になる。心の奥底で、違う女が居るのを想像していた。それを期待していた部分があるだけに、目に映る姿を見ることができず、顔をそむけ、視線をそらす。 今夜、好きでもない俺と、初めてを共にするのかと思うと、なおさら。 まともにこれといって話をしたことない俺でいいのだろうか。受けておきながら迷ってしまう。こんな機会でないと、ゆっくり話しをするどころか、触れるだなんて、一生なくなる相手だとわかってはいる。
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