千の鶴を殺しても

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不釣り合いな男が相手だと、悪いから、せめて見た目だけでも、様になってよかったと。 せっかくの機会なのだから、なにかしら話したらいいのになにも話すことなく黙々と、運ばれた料理を食べ、とうとう善は下げられ、奥の部屋の襖が開かれる。 小さな灯籠に明かりが灯され、豪華で大きな布団が一組ありありと、敷かれている。 女中さんに(うなが)されるがまま、部屋に入り、ごゆっくりどうぞと言われ、薄明かりの部屋の中、二人きりになった。
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