千の鶴を殺しても

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なんて情けない男なんだろう。と思いながら、顔から火が吹きそうで、穴があったら一生隠れていたい。下心丸出しの、下衆(げす)でちっぽけな男なんだと、自分で自分を(ののし)りながら。 「……ごめんな、さい……私のほうこそ……」 いつもそうやってあやまっている。そんな姿ばかりを見ていた。なんでそんなにあやまるんだよ。露草は、なにも悪いことをしていない。謝るべきなのは、俺のほうなのに。 「あやまんなくていい……。悪いのは、俺だから。許してくれるなら……ちゃんと、怖くないように、こんだこそ、ちゃんと、するから…」
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