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大きく肌の出たうなじ。そこは、俺が、触れた場所。浮き出た背骨に沿って、舌を這わせ、下り、くびれた腰からさらに先まで、俺はくまなく触れた。
露草の身体の知らない部分はないと言い切れる。触れていない所はないと言い切れる。
二度と触れることのできない相手の全てを俺は、知っている。誰よりも、知っている。誰よりも、先に。
これから千羽の鶴が朧月に群がってくる。俺は、ずっと見ている。誰よりも近くで、朧月と名乗る花街いちの太夫の姿を。
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