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菊丸は私専任の男衆となり、道中は終わり、戻ってきた。
高い下駄を脱ぐとき、階段を上がるときなど、つかさず横から手を出し、手拭いを掛けた肩を差し出してくる。
太夫としてお店に出ているとき、お客さん以外の男の人に触れてはいけない。でも、専任男衆の菊丸の手だけは、手拭いを掛けた肩だけは、別扱いされる。男としてみなされない。飽くまで太夫、私の動作の補佐役だから。
その証として、朧月と大きく書かれた手拭いが、肩に掛けられている。
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