千の鶴を殺しても

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「あのぉ…」言おうとしたら、「なにぼっとしてんだ、お前が作るんだ。駄目にしたんだろ? 教えてやるからそのとおりにしろ」 見た通りの口調に少し怯えながらも、自分が作り直せと言われたことに驚き、そんな、こんなお店で出すようなもの、しかもどうやって作ってあるのかわからない。それに、最初に作った人の想いとかあるだろうに、私なんかが作った物を出してよいのだろうかと、本気で戸惑った。 迷う私をよそに、その人はこっちへ来いと歩きだし、手からお盆を取り上げ、通りすがりの人に押し付けるように渡し、次々と周りの人にあれこれ言いながら進んで行く。
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