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魔獣の森は暗闇に包まれた夜しか現れない。
暗闇の中で現れた赤い目がギョロリと一斉に同じ方向に動き、何かを掴んだ。
「ごめんなさい・・・助けて下さい・・・」
「嘘を吐け、嘘さえ吐けば見逃してやる」
「はあ、でもあっし嘘が苦手やして」
「なら今いる事から反対の事を言えば良いんだ」
「あ! 一つ良いのが思いやした」
「なんだ言ってみろ」
「ありがとう、助けなくても平気やす」
魔獣の大きな口が開いた。暗闇の中で大きな牙がキラリと光る。
「そうかい、俺は「嘘」が大嫌いでさあ」
直後の断末魔が夜の暗闇の中で響き、やがて静寂を迎え入れた。
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