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第19話 その定義
(…ははっ。最低なのは俺だよな。
いつもその考えに辿り着きかける。
真司は俺の命の恩人でもあるっていうのに。だから俺は自分で、『死んだら地獄行き』って自覚してんだよ。)
「…過去の黒く塗り潰したい記憶を、わざわざほじくり返してくれていたようだけど。」
真司がため息を吐きながら、口を開いた。
俺の頭の中は、さすがにサルパのように透けていないはずなのだが。
真司にはもしかしたら見えているのかもしれないと思い、どきりとした。
「今回これから起きる件に関してと、亘が『童貞』かどうかは、定義上何の関係もない。」
「…………定義??」
「辞書上の定義では、『まだ異性と肉体関係をもったことがない人』を童貞としている。」
「……………は?」
「今回は『同性』との肉体関係となるわけだからな。童貞だろうとそれ以外だろうと、特に影響は無い。」
「………はい!?」
「俺にとっては、計算上特に必要のないデータだったが、まあわざわざ打ち明けてくれて感謝する、とでも言っておいた方が良ければそうしておこう。」
「………えっ…!?と…。定義、とかそういうことでは、なくて、俺は自分のモノを、男女問わず、他人のどこにも入れた事なくて未経験って意味、えっ、何で!?何が!?何のハナシ!?!?
…俺、まさか、ただの打ち明け損…!?」
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