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桃太郎はついに鬼のいる洞窟にたどり着きました。
「鬼退治するつもりはない!」
桃太郎は叫びました。
鬼たちは笑いました。変なやつが来たなと思ったのです。
「お前は何しに来たのだ」
桃太郎のことをバカにしたように言います。
「私はお前たちの仲間だ!」
桃太郎は叫びました。
「そうか、仲間に入りたいのか」
そう言ったのは青い角が二本の鬼でした。あの時の鬼です。
桃太郎は握った拳に力を込めます。
「そこの青い鬼! 隣の赤い鬼をやっつけようと思っているな!」
桃太郎は叫びました。もちろん大嘘です。
「何だと?!」
隣の赤鬼が身構えます。
「私は心が読めるのだ! ほら、そこの緑のやつは、青い鬼を狙っているぞ!」
これも全くの大嘘です。
青い鬼が緑の鬼を見ます。すかさず桃太郎は続けます。
「黄色い鬼もじゃないか。紫も、黒も、みんなどうしたんだ、お互いにやっつけようと思っているじゃないか!」
すると、赤鬼が青鬼を殴りました。そして青鬼が殴り返しました。
それを合図に、あちこちで戦いが始まりました。殴られては殴り返し、蹴られては蹴り返し。
いつの間にか洞窟はすごい騒ぎになりました。
桃太郎は目の前に倒れている青鬼の角を二本、刀で切り取り懐に入れました。
まだ倒れていない鬼たちが奥の方でやり合っています。まだ全員倒せていない、どうしようか……考える桃太郎は、不意に何者かに引っ張られて洞窟の外まで出されました。
見ると、そこには力桃、知恵桃、いだてん桃、天桃の四人が立っていました。
力桃は岩を転がしてきて、洞窟の入口を塞ぎました。
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