Boy meets Girl

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 電話の向こうは、無音だった。おれが何も喋らずにいると「どうしたの?」と、彼女の声が聞こえてきた。とくん、と心地よく、胸が跳ねる。  今から帰るよ、と言うと、それ、さっきも言ったじゃん、と、おかしそうにクスクスと笑う。手元を見た。暗闇の中、きらりと、行く先を照らすように、左手の薬指が、やさしく光る。 「――早希(さき)、愛してる」  照れ臭そうに笑ったあと、泣き出す彼女の声が聞こえてきた。おれは、ふっと、笑みをこぼした。
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