深海鉱山

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 大学生の時の話。  僕たちは高校生の時と比べて遥かに心霊スポット巡りに自由を手にしていて、そのうちのひとつが車であった。男女がふたりきりだがこんな間柄ではロマンスなんてなかった。  車の旅が増えて一年と半年程経ってから、深夜に地元ではない他県の山奥に入ったことがある。何があるか秘密にしたいと誘われて、僕は廃墟巡りといった、恐い人に会うか、転ぶか落ちるか釘でも踏み抜くかして怪我する。もしくは不法侵入で逮捕されるなどと現実的な危険が多いことはもうこりごりだとゴネてみたが、先輩は今回ばかりは一般人も入れるところだし危険は絶対にないと手を合わせて言うので「それなら」と上から目線で了承した。  ただ、僕は疑う心を払うことはできなかった。というのも、先輩はよく明白に冗談として嘘をよくつく人で、掴みどころが眩みはするといえど悪人とは思わないが、過去に一、二度どういう謂れの場所か伏せて連れて行かれたことがあり、今思えば死ぬようなことには至らなかっとはいえ、危険な人だという認識は捨てちゃダメだなと心に刻み込んだ。  実際この遠出でこの人はやっぱり異常者なんだなと思い知ることになる。  
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