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「おーい聞こえてる?」
聞いたことのないような、聞いたことがあるような、不思議な声が聞こえてきた。
多分聞いたこと、ない。
なのに、聞いたことが、ある。
そう思わせる声だった。
「よっかた生きてるみたいだね」
生きているみたい?
死んでるわけがないだろ。
生きてると思っている、その時点で生きている。
「助けてあげたんだから、感謝の言葉の一つでも言ったら?そんなんもないとは、呆れたもんだよ」
聞いてもいないのに、一方的にべらべらと、話かけてくる。
めんどくさいからとりあえず。
「ありがとうございます」
と、当たり前の言葉を言った。
ありがとうございますという、言葉は、俺にとってはもはや挨拶と変わらない、感情もこもっていない。
そんな程度の言葉だった。
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