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そう言うと、目の前には奥園の顔があった。そして、そのまま奥園は奈々未の唇を塞いだ。
「ギャーーーーー!!」
思わず大声で叫ぶ奈々未に、奥園は少しびっくりしていた。
「何だよ、そんな大声出して。キスしただけでギャーギャー騒ぐなって。減るもんじゃないし」
ダルそうにそう言った奥園の首元に掴みかかった。
「私の……ファーストキス、返しなさいよ!!」
こうして、奈々未のファーストキスはこの性悪男に奪われたのだった。
「絶対、彼女になんかならないから!」
そう言い残して、奈々未は急いで屋上を出る。
「はぁ、もう何なの。最悪……」
そのまま少し離れた渡り廊下まで走ってきた。
「なんで……」
立ち止まって気づく。奈々未は自分の胸にソッと手を当てた。何故こんなにもドキドキしてるのだろう? この胸の高鳴りは何なのだろう? もしかして、奥園にキスされたから?
「……そんなことあるわけないじゃん」
奈々未はここまで走ってきたからだと言い聞かせ、もう一度教室までの道を走る。
これがアイツとの始まりだった。
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