15人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、学校に行こうと奈々未が家から出れば、そこには何故か奥園が立っていた。
「遅い、早く行くぞ」
奥園はそう言うと、少し機嫌悪そうに奈々未を見る。これは何かの間違いだ。奈々未は目の前に立っている奥園を無視して、歩き出す。すると、腕を引き寄せられた。そして、奈々未はそのまま奥園の腕の中にすっぽりと収まった。
「無視すんだったらここでキスすんぞ」
そう耳元で言われて、身体中に鳥肌が立つ。またキスされるなんて断じて許さない。
「まだ付き合うなんて一言も言ってないじゃない!!」
「いいから早く来い」
「ちょっと待って!」
握られたままの手を引っ張られる。仕方なく奈々未は、奥園に着いて行かざるをえなかった。
それにしても何故奥園は奈々未の家知っているのだろうか? 不思議に思って奥園を見る。
「お前の友達に聞いた」
前を見つめたまま、まるで奈々未の心を読み取ったように答える奥園。
「里香ちゃん、だっけ? いい子だね、あの子」
「完全な個人情報なんですけど!」
「いいじゃんいいじゃん」
何故、里香は家を教えてしまったのだろう。奈々未は項垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!