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「別に付き合ってるんだし? 一緒に学校行くなんて普通でしょ」
「だから何回も言ってるでしょ! 付き合ってない!」
「はいはい」
抵抗しようにも固く結ばれた手を解くことが出来ないまま、奈々未は奥園と手を繋ぎながら学校へと向かうことになった。
既に二人を見てコソコソと話している女子達がいる。このままでは大騒ぎになってしまう。これからのことを考えると不安の二文字しか浮かばなかった。
いつも校門に入る前から歓声を浴びている奥園だが、今日は違った。それは隣に奈々未がいるからだ。皆不思議そうな顔をして二人を眺めていた。正直視線が痛い。助けを求めるように奥園を見る。しかし気にしていないのか、真っ直ぐと目の前を見るだけだった。
「おはよ」
そのまま教室に入ると、爽やかに挨拶をする奥園。さっきまでの奈々未に対しての態度とは全く違う。学校では王子様キャラを完璧に演じているアイツの本性を奈々未は知っている。
「いつかバラしてやる……」
聞こえないような小さい声で言うと、奥園は奈々未を見た。
「……さぁ、出来るかな?」
そう言って、奥園はニヤリと笑う。何だ聞こえていたのか。地獄耳だと奈々未は小さくため息をついた。
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