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そんなことをしているうちに周りにはうるさい女子たちが集まってきた。
「了太くんおはよ」
「奥園くんおはよー」
口々にそう言って奥園に挨拶をしていくので、奥園もそれに答えている。
「なんで原田さんと一緒に来たの?」
すると、誰かが触れて欲しくないところを聞いてきた。そりゃ一番にそこが気になるだろう。めんどくさくなる前にここから離れた方がいい。奈々未がその場を立ち去ろうとしたら、ぎゅっと腕を掴まれた。奈々未の目の前には奥園の顔がある。ゆっくりとその顔は近付いてくる。
「えっ……」
あろう事かそのまま奥園は、奈々未にキスをした。
「奈々未は俺の彼女だから」
そう言うと、奈々未の肩に手を回して満足げな笑顔で笑う。いきなりのことで何が起こったのか理解出来ず、放心状態の奈々未と静まり返る教室。
……まさに地獄だ。
みんながいる教室でキスする馬鹿がどこにいるのだろうか? まぁ、紛れもなくここにいるのだが、全く何を考えているのかもう奈々未には理解不能だった。そんな奈々未の気持ちとは裏腹に、心臓は勝手にバクバクと音を立てる。気づかれないように冷静を装う。二人を囲んでいた女子たちは、ヒソヒソと話をしながら散らばっていく。
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