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「うわ! すげぇ美味い!」
奥園は奈々未を見て、幸せそうに笑う。
「これ奈々未が作ったの?」
「……そうだけど?」
「まじでうまいよ! こんな美味しい卵焼き食べたことない!」
自分が作ったものを美味しいと初めて言ってもらえた。恥ずかしくてくすぐったくて、どうしようもなかった。結局、奥園は美味しいと言いながら卵焼きを全部食べてしまった。でも、美味しいと言いながらにこにこしながら食べる奥園を見てたら、何だか怒れなかった。
「ごめん。全部卵焼き食べちゃって」
「いいよ。逆に美味しいって言って貰えて嬉しかったし」
残りのおかずを食べながら、奈々未はそう言う。
「奈々未」
そう呼ばれて奥園の方を向くと、いきなりキスされた。
「……これで許して?」
そう言うと、奥園は手を合わせている。
「こんなので許すわけないじゃない……」
「まだ足りないの?」
「そういうわけじゃないってば……」
そう言うと奥園にそのまま押し倒された。目の前には奥園の顔がある。奈々未は奥園を勢いよく突き飛ばした。
「何してんの、ここ学校だから! 本当バカじゃないの!?」
「別にこれくらいいいだろ?」
そう言って、奥園はいつものように意地悪な顔で笑っている。
「だって昨日誰かさんが不意打ちで了太って呼ぶし」
「あ、あれは……」
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