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そう言って慌てて、奥園と向かい合った席へと座る。奥園はそんな奈々未の顔を何も言わずに見ていた。
「え? 何?」
あまりにも見つめられていたのでそう言うと、奥園は視線を逸らす。
「いや別に」
「何か言いたいことでもあるの?」
「可愛いなって思っただけ」
「……何言ってんの。早く教えてくれない?」
不意にそんなことを言われてどう反応すればいいか分からなかったので、奈々未は教科書を広げながらそう言った。
「ごめんごめん。ちゃんと教えるから」
「お願いしますよ、本当に!!」
それから奥園は、意外と真剣に教えてくれた。分からないと言ったらこんなのも分からないの? と嫌味を言われたが、奈々未が分かるまで根気強く付き合ってくれた。
「ここはこうして、この公式を使えば」
「そっか、そういうことか!」
奥園の教え方が上手でスラスラと問題を解くことが出来るようになった。こういう姿を見ると、本当に学年トップなんだと改めて思った。
「やったー! 終わった!」
奥園のおかげで今日の課題も直ぐに終わった。
「アンタって何でも出来るのね」
「だから俺は天才だって言ってるだろ?」
「天才はあんまり自分で天才って言わないと思うけど」
奈々未がそう言いながら、教科書を閉じて帰る準備を始めようとすると奥園がストップをかけた。
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