第4話

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「王子様探すって言ってただろ?」 「あぁ……うん。覚えてたんだ」 「当たり前だろ? 奈々未、そいつの特徴とか覚えてないの?」  奥園はクルクルとシャーペンを回しながら、聞いてくる。 「それが全く思い出せないの。思い出そうとしても顔に靄みたいなものがかかってて」 「……それでよく探し出すって言ったな」 「それはアンタが言ったんでしょ!」 「お前がそんな態度じゃ探さねぇぞ」  そう言って奥園に少し怒られてしまった。奈々未が慌てて謝ると、冗談だからとクルクルと回していたシャーペンを今度は鼻の下と口で挟んだ。 「それで、そいつの年頃は?」 「私と同じくらいだったと思う」 「その時の服装とかは?」 「あんまり覚えてないけど、紺色のベストにシャツ着てた気がする」 「その年の割に随分ませたガキだな」 「そうなの。おしゃれなお坊ちゃんって感じだった」  奥園は奈々未に質問の答えを聞きながら、シャーペンでサッと絵を描いていく。 「こんな感じ?」  そこには顔だけ描かれていない少年の絵があった。それは奈々未があの日出会ったの王子様そのものだった。思わず、奥園の手から紙を奪い取る。 「うわ、アンタ絵も描けるの?」 「だから俺は完璧だって言ってるだろ?」 「……性格が良けりゃ完璧だったのにね」 「だから性格もいいって」
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