第4話

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 奈々未が思っているよりも奥園はいいやつなのだと思った。性格は少し残念だが、それは言わないでおく。 「あ、ごめん。ちょっとトイレ行きたいから先戻ってて」 「おう、分かった」  廊下で奥園と別れて、奈々未はトイレへと向かった。もうすぐで昼休みが終わる。廊下に出ている人達も次々と教室へと吸い込まれていくのを見て、小走りでトイレへと入った。  そして、奈々未がトイレの個室から出ようとした時だった。 「うわぁっ!」  なんといきなり上から水が降ってきたのだ。頭から水を被った奈々未は、ずぶ濡れになっていた。外ではケラケラと笑い声が聞こえる。恐らく真凜とその仲間たちだろう。その笑い声は小さくなっていく。 「最悪だ……」  全身ずぶ濡れになったおかげで制服のシャツは透けていて、さすがにこのまま外に出ることは難しい。でも、早くここから出ないと授業が始まってしまう。 「どうしよう……」  そうしている間に奈々未の焦る気持ちも虚しくチャイムが鳴る。奈々未はその場に立ち尽くすことしか出来なかった。
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