第5話

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 どうしようと途方に暮れていると、トイレの外から声がした。 「奈々未! いるか?」  その声は紛れもなく奥園だった。奈々未は恐る恐るトイレの個室から出て、外まで出る。奈々未の姿を見て、奥園が驚いた顔をする。 「お前……どうしたんだよ! ずぶ濡れじゃん!」 「ちょっとあんまり見て欲しくないんだけど」 「わっ、ご、ごめん!」  そう言うと、慌てて奥園が目線を逸らす。 「一体何があったんだよ」  明後日の方向を見ながら、奥園が奈々未に聞いてきた。 「トイレの中に入ったら、いきなり上から水かけられて……」 「はぁ!? ちょっとここで待ってろ」  そう言うと、奥園はどこかへ走っていった。少ししてから奥園が戻ってきて、ジャージを奈々未の肩にかけてくれた。 「とりあえずこれでも着とけ」 「ありがとう……でもなんで奥園がここに?」  そう言うと、奥園は鼻の頭をポリポリとかきながら答える。 「お前がなかなか戻ってこないから嫌な予感がするなって思って、そしたら八乙女真凛と何人かがトイレから出てくるのが見えて」  そう聞いて、やっぱりあの笑い声は真凜だったのだと確信した。 「ちょっとアイツに文句言ってくる」  歩き出そうとする奥園の腕を慌てて掴んだ。奥園が直接何か言うことで、真凛に変な刺激を与えるようなことは出来るだけ避けたい。 「ちょっと待って、大丈夫だから」 「だって元はと言えば俺のせいでこうなってるんだろ? 文句言わねぇとまたやられるぞ」  奥園はとても必死な顔をしていた。 「……アンタって意外と優しいんだね」 「意外とっていうのは余計」
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