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「でも本当に大丈夫だから」
奈々未がそう言うと、奥園は不満そうな顔をしながら一応は納得してくれたみたいだった。
「分かったけど、もし何かあったらすぐ俺に言えよ」
「うん」
それから保健室まで行って、ジャージに着替える。保健の先生は不注意で水がかかってしまったと言う奈々未を見て、不思議そうな顔をしていた。だが奥園がすかさずコイツ鈍臭くてとフォローをすると、それから何も言う事はなかった。
次の授業で教室に戻ると、思ったよりも早く帰ってきたからか真凛は面白くなさそうな顔をしていた。
「ちょっと奈々未、何があったの?」
教室に戻ってきた奈々未を見て、里香が聞いてくる。
「まぁ、ちょっと色々ね……」
また話すと言って、奈々未は誤魔化した。里香には悪いがさすがに教室でこの話は出来ない。里香も何かを察したのか、それから聞いてくることは無かった。今度里香には電話でもしようかと考えていたら、あっという間に放課後になっていた。
里香は塾があるからと足早に教室を後にした。奥園は部活らしく、とっくの昔に教室に姿はなかった。
「あっ……」
帰る準備をしていると、カバンから奥園のジャージが出てきた。そういえばタイミングを逃し、返してなかったことを思い出した。帰るついでに返しに行こうと、奈々未はグラウンドまで歩き始めた。
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