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グラウンドについて奥園を探す。するとすぐ奥園は奈々未の視界に入ってきた。ボールを追いかけてシュートをしたかと思ったら、そのままボールはゴールへと吸い込まれていく。
「うわ……」
そんな姿を見たら、王子様に見えなくもないなと少し思ってしまった。グラウンドをぼんやりと眺めていると、誰かに声をかけられた。
「奈々未ちゃん?」
「宗治先輩……」
奈々未に声をかけたのは宗治先輩だった。今から部活に参加するのか、ユニフォーム姿でサッカーボールを小脇に抱えていた。
「あ、覚えてくれたんだ」
そう言うと、宗治先輩はニコニコと奈々未に微笑みかける。この前奥園が宗治先輩に妬いていたのを思い出し、どう接したらいいのか正直困ってしまった。何も言えずにいると、宗治先輩は奈々未の隣に立った。
「でも珍しいね。奈々未ちゃんがこんなところにいるなんて」
「えっと……宗治先輩にこんなことお願いするのはどうかと思うんですけど、これ奥園に渡しといてもらえますか?」
そう言って、宗治先輩に奥園のジャージを手渡した。
「それは別にいいけど……了太に会わなくていいの?」
宗治先輩はジャージを受け取ると、奥園がいる方に目線を向ける。
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