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それからあっという間に週末を迎えた。当日は約束の時間に奥園が家まで迎えにきた。
「おはよう」
「おう」
家の前に立っている奥園は私服だった。当たり前なのだが、そういえば私服の奥園を見るのは初めてだということに気がついてとても新鮮だった。
「何? そんなジロジロ見て」
「あ、ごめん。私服が新鮮で」
奈々未は慌てて目線を逸らした。見ていたのがバレたのが少し恥ずかしい。
「確かに。俺も奈々未の私服初めて見た」
奥園はそう言うと、奈々未の前に回り込んで上から下まで見る。
「いや、そんなに見なくていいから」
「今日も可愛いな」
「えっ?」
いきなり可愛いなんて言うから少しドキっとした途端、奥園が足を止めた。
「着いたぞ」
目の前には大きなお屋敷が建っていた。そこは近所でも一番と言っていいほどの大きな家で、奈々未はここの前を通る度に一体どんなお金持ちが住んでいるのだろうと気になっていた。
「ここ、俺の家」
「はぁ?」
そう言うとお屋敷の大きな門を開ける奥園。そんな奥園に慌てて後を着いていく。
「ちょっとアンタ、お坊ちゃんだったの?」
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