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「別に坊ちゃんじゃねぇよ。ばあちゃんが金持ってただけ。ここ元々ばあちゃんの家だし」
奥園によると奥園のおばあさんとおじいさんが資産家だったらしい。おじいさんは奥園が生まれる前に亡くなっており、おばあさんは昔から一人でこのお屋敷に住んでいた。
そのおばあさんが最近足を悪くしたので一人で屋敷を管理することが難しくなり、この家を管理する為に奥園達の家族が引っ越してきたそうだ。おばあさんは今、老人ホームで過ごしている。
「俺の両親は普通にサラリーマンだし、普通の家庭だから」
それを聞いて少し安心した。そして、奥園が大きなお屋敷の扉を開ける。すると、そこに一人の女性が立っていた。
「あら、了太」
「母さん、なんでいるんだよ」
「そんな言い方ないじゃない。今日は休みなのよ」
立っていた女性は、奥園のお母さんみたいだった。さすが奥園のお母さんというだけあって!整った顔をしていた。そしてとても上品な雰囲気を纏っており、此の親にして此の子ありとはまさにこのことだなと思った。
「初めまして。原田 奈々未です」
上品な雰囲気に少し緊張しながら、挨拶をする。
「あら可愛いわね、了太の彼女かしら?」
「いいから早く上行くぞ」
「えっ? ちょっと!」
奥園はお母さんの質問に答えず、奈々未の腕を掴んで階段を上がっていく。
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