第5話

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「奥園のお母さんって凄い美人だね」 「別にそんなことねぇよ……いつもいないくせになんでこんな日にいるんだよ」 「何? 反抗期なの?」 「うるせぇ」  奈々未自体、反抗期が全くないのでこれが反抗期なのかと目の当たりにした気がした。ニヤニヤしながら奥園を見ると、ギロッと睨まれた。今まで見たことない奥園を見て、少し面白かった。長い廊下を奥園はズンズンと歩いていき、一番突き当たりの部屋へと入る。奥園の部屋は凄く綺麗に整理整頓されていた。男の子の部屋は散らかっているイメージだったが、もしかすると奈々未の部屋よりも綺麗かもしれない。 「適当に座ってて」  そう言うと飲み物取りに行ってくると奥園は部屋を出て行く。一人残された奈々未は、キョロキョロと周りを見渡した。そして、目に入った机に飾られている写真立てを手に取る。写真には若い男女と小さな男の子が写っていた。きっと小さい男の子は奥園だろう。今とは似つかない可愛い顔をしている。そして、ベストにシャツといった本当にお坊ちゃんのような服装だった。 「やっぱりお坊ちゃんじゃん……」 「それはばあちゃんに無理矢理着させられたの」  奥園はそう言って、両手にオレンジジュースを持ちながら部屋に戻ってきた。 「へぇ、そうだったんだ」 「それサッカーやりにくくて嫌だったんだよな」 「確かにこれでサッカーはやりにくいだろうね」 「おまけにバイオリンとかピアノとか習わされるしで本当に最悪だった」 「えっ! 凄いじゃん!」
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