ぼっちなセンチメンタル。

1/3
前へ
/302ページ
次へ

ぼっちなセンチメンタル。

桜舞い散る季節を終え、4月下旬。 「おはよー」 「おはよう」 とある高校の、とある教室。 時刻は8時を過ぎた辺り。 ホームルーム前で、教室は生徒で溢れだしていく。 クラスに入ると仲良くなったばかりの友達に挨拶をしたり、男の子が気になる女の子に話し掛けていたり、いなかったり。 クラスのみんなは互いの顔と名前を覚え、更に親密な関係になっているのだろう。 そんな賑やかでアオハルな雰囲気に反して、私は空気だ。 教室に入っても誰にも声を掛けられず、席に着いても誰も近付いてこない。 そんな私は今日もみんなの背景の一部として存在している。 「……私だって生きてるんだけどな」 心の中で呟き、好きでもない教科書を開いて時間を潰す。 これが私の日常。 柊聖(ひいらぎひじり)、 16歳。 これが私の名前。 名前だけはインパクトがあると思う。 2文字だし。 けど完全な名前負けで、黒髪地味子な私には誰も興味を持ってくれない。 ううん。 本当は私がいけなかったのは分かってる。 私が通う四ツ谷橋高校(よつやばしこうこう)。 初めはこんな私に声を掛けてくれる子もいた。 いたのに……友達作りに失敗した私は現在進行形でぼっち生活を送っている。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加