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――去年の暮れ 「ワンワン警察署なんだしさぁ、1月1日にやろうワン?」 「…………」  犬山(いぬやま)署長の安直な意見は、一同の冷笑とともに、全会一致で否決された。 ――現在 「子供達の将来は……俺にかかっている!」  これから大魔王を討伐に行くかのような表情で、拳を握りしめる岩崎。そこまで考え込むとは……さぞかし危険な会なのだろう……。  いや、そんなことはない。  子供達や保護者に、交通事故や誘拐に遭わないための方法を、警察官が教えるだけのことである。  常識のある大人なら誰でもできる仕事だが、手当も出ないので成り手がいない。そこで、責任感の強い岩崎に、犬山が直々に白羽の矢を放ったのだ。 「1ヶ月も前から準備してきたんだ……大丈夫……うまくいくはず」  会でスクリーンに映す写真を眺めながら呟く。子供達が退屈しないように、スライドショー方式でお送りするつもりなのだ。
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