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「お母さんに……なにをしようかなぁ……」  平日の夕暮れ時。ここは広さ70坪の空き地。虹色のランドセルを背負い、ネズミ色の土管の上で、コーヒーカップのようにぐるぐると身を回す女の子。名前は鈴原(すずはら)美幸(みゆき)。小学2年生だ。  美幸の通う小学校では、母の日の翌日の月曜日に、体育館で、生徒がお母さんに感謝を伝えるという催しが行われている。  その名も『お母さん感謝の会』  感謝の伝え方は自由。手紙を渡してもいいし、肩叩きをしてもいい。  お母さんのことが大好きな美幸。かれこれ30秒もの間、考え込んでいる。 「うーん……冷蔵庫に入ってたプリンでも、プレゼントしようかな?」  悩み抜いた末に、2組の山田君と同じ案を思い付く美幸。 「よーし! そうしよー! じゃあお家に帰ろー!」  土管を飛び降り、走り出した美幸。しかし、その足はすぐに止まった。 「この音……なんだろう?」  空き地に響き渡るギターの音色に、不思議そうな顔を浮かべる美幸。 「あっ! あの人が犯人だー!」
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